皆さんこんにちは、JPMA 太陽光発電安全保安協会です!
今回は、現場不具合ルポシリーズのパート6。
前回に引き続き、いくつかのトラブル事例をご紹介していきます。
今回は「草刈時のトラブル」についてお話をしていきます。
まず初めに、草刈りを行うタイミングについてです。
予算によっても変動しますが、年に2〜3回行う事がベストです。
年に2回の場合は春の終わりから初夏にかけての5〜6月頃
それと夏の終わり、8〜9月頃が効果的です。
太陽光発電設備の除草や雑草管理の方法にはいくつかの方法がありますが、
その中で一番用いるのは、「器具を使った草刈り」です。
一口に「器具を使った草取り」とは言っても、
設備の面積や草の生育具合によって、使う器具や方法が異なります。
例えば、メガソーラー(大規模な太陽光発電施設)など敷地面積が広く、
作業用通路などがしっかりと確保されている場合には
「手押型草刈機」や「乗用型草刈機」が使われ、
それほど広さがない低圧発電所などでは、
「肩掛型」や「背負型」の刈払機が使われます。
そして、この「刈払機」を使う時に起こることの多いトラブルが
ケーブルの切断事故です。草刈機でのケーブル切断は、
草刈り時に起こる事故の中でも最も多い問題なのです。
なぜなら草が伸びた発電所は、ケーブルをしまっている保護管が見えにくいため
誤って保護管ごとケーブルを切断してしまうことが多いのです。
また、小石を跳ね飛ばしてパネルに傷をつけてしまう、
というトラブルも多く起こってしまっているのが現状です。
それでは、そのようなトラブルを回避するためにはどうすれば良いのでしょうか?
まずは「刈払機のブレードの選択」をすることが大切です。
大きく分けて、ブレードには金属製の物とナイロン製の物があります。
ナイロンブレードであれば、ケーブルの切断事故は少ないのですが、
金属製に比べてパワーが劣ります。
金属製・ナイロン製それぞれにメリットデメリットがあるため、
状況・用途に応じて使っていくと、トラブルを回避することも可能になるはずです。
もう一つは「雑草を切り込む高さ」でケーブル切断を回避する方法です。
一般的に、草刈りを行う際にはなるべく雑草の生育を遅くするため、
地面すれすれの低い位置の「際刈り(きわがり)」を
行うケースが多いはずです。
しかし、この「際刈り」こそがケーブル切断をしてしまう一番大きな原因となります。
さらに、良かれと思って行った「際刈り」が植物の成長を早めてしまう事もあるのです。
そもそも植物は種類によって成長点が違い、
イネ科の雑草の成長点は地面ギリギリの所にあります。
しかし、広葉雑草の成長点はそれよりも高い所にあるのです。
際刈りをすることで「広葉雑草の成長点」は刈り取ることができますが
「イネ科の雑草の成長点」は残ってしまいます。
そこで用いられる手法が、地面から10〜15センチ位の所で
雑草を刈り取る「高刈り」です。
「高刈り」を行うことで広葉雑草の成長をある程度促進させ、
イネ科の雑草の成長点に影を作ることが可能になります。
影を作るとイネ科雑草は成長しにくくなるので、
設備にとって、最も厄介である「背の高い雑草」の成長が遅くなるのです。
そして何より、高刈りはケーブルの切断事故を回避することができます。
トラブルも回避しつつ、雑草の生育を遅らせることが出来る便利な手法です。
今回は雑草の刈り取り時に発生しがちなトラブル、
そして雑草の生育を逆手に取った刈り取り方法について解説しました。
雑草での発電ロスは、設備にとって最も起こりやすい痛手です。
こまめな処理・そして確認をするようにしましょう。